飛騨槍ヶ岳紀行 Ⅱ
双六小屋から槍ヶ岳山荘までは西鎌尾根を硫黄乗越・左俣乗越・仙丈乗越の鞍部のアップダウンを繰り返す5時間程度の行程です。
問題は山荘から大槍までの高度100mが大渋滞するのが予想されていて、できるだけ早く肩の小屋到着が望まれます。
双六小屋の朝食は4時半ながら先着順なので、お弁当を作ってもらって4時45分にヘッドランプをつけてお隣の樅沢岳に向かいました。
樅沢岳山頂(2,755M) 夜明けの槍ヶ岳
↓ 来た道じゃ ↑ 行く道ぞ
硫黄乗越 アップダウンの連続
槍ヶ岳山頂に到達するには表銀座から東鎌尾根、岩登りのスキルが必要とされる北鎌尾根のほか新穂高コースと裏銀座から双六岳を経由する西鎌尾根、上高地から鎗沢を登る4方向があげられます。
北鎌尾根は我が郷土の加藤文太郎が昭和11年冬に遭難した難コースでも知られています。
なかでも西鎌尾根は北アルプスの北側と西側の笠ヶ岳など眺望もよく、槍穂高連峰に向けて徐々に近づいていくことで魅力あるコースといわれています。
距離はさほど長くありませんが、尾根伝いのアップダウンを繰り返しながら登るのは結構厳しいものがあります。
すれ違う登山客が、「鎗からの景色はすばらしいですよ」「きつい行程ですが頑張って!」「朝5時半から登っても山頂には2時間近くかかりましたよ」とエール?を送ってくれます。
千丈乗越 ミネウスユキソウ
すぐチェックインですが、お昼前でも行列ができる混雑です。
本来なら高度差100mは30分程度で登れるはずですが、行列は一向に進みません。
多分山頂に登っている人が降りたら、その人数分が最終ハシゴを登るのでしょうが、それにしても進みが遅すぎる感がします。
(その理由は山頂に着いてわかりました)
グループの場合は集合が一枚、あとは個々にスマホで一人写真を撮っている。
山頂にいる人の中でザックを持ちヘルメットをつけ、ロープなど登攀道具類を持っている人がいることに驚かされます。
肩の小屋から並んでいる組と北鎌尾根からの登攀組が山頂で固まっています。
ガスが出て視界がない割に山頂が空くのが遅い原因です。
緊張する下りのハシゴとクサリ場
登りも下りも岩登りの基本「三点確保」で慎重に進めば、難コースでも事故は起きていません。
山頂から途中まで登り下りは別ルートになってはいるものの、待ち時間もあり50分かけて下りました。
降り終えた14時前には昨日に続き「小屋飲み」の始まりです。
山頂から小屋前までの行列にならぶ人達を尻目に、お酒を頂くのは少し申し訳ない気もしますが、大槍を眺めながらの一杯はたまりませんね。
登頂後余裕の小屋飲み
16時前でも混雑している大槍
槍ヶ岳山荘の収容人員は650名、食堂は一度に150人が利用できる巨大小屋でも、この日は超満員。
大食堂 メインは酢豚
繁盛する売店 今夜も布団一枚に二人
夕食を終えて床についたものの、むさ苦しい両隣と肩がふれあうのが気になってなかなか寝付けません。
深夜トイレに起きると、狭さに耐えられず廊下や広間に逃れて寝ている人もあり、うらやましくも感じました。
今日は晴れ時々曇りながら、大槍に登る際にはガスが湧きでて周囲の絶景は望めなかったのが残念でした。
予報では明日は晴れ一色、空には満天の星が明日の好天を約束してくれていました。