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2018年1月23日 (火)

伊佐屋菓子店 盛衰記

12月24日の「迎春準備 餅つき編 2017」で、伊佐屋の家業である菓子舗が廃業となったことを書きました。

物心ついたころに倉や物置を覗くと、銅鍋や麺板・まつぶた・煎餅焼き器・押し物の木型・食用の色粉各種と売掛け・買掛けなど各種帳簿が残されていました。
 
飴や羊羹などを練る銅鍋とへら         軒下の吊り看板(御菓子処)
P1040506   P1040530
 
但州上蓼川上り 精栄堂       掛け売り帳簿(岩中・藤井も)
P1040519  P1050129
父の妹で子どもの頃から菓子製造を見てきた叔母から聞いた昔話によると・・・・。
売れ筋の三大商品は松露糖(ショウロトウ)、練り羊羹巻き煎餅でした。
他に練り切り(生菓子)・落雁(干菓子)・さらし飴・かち割り飴・きなこのねじり飴・金太郎飴を作り、仕入れ商品として、菊煎餅・ごま煎餅・さざ波が店に並んでいたといいます。
 
当主は、三木秀蔵さんで、菓子製造のかたわら農業をされました。おも屋の表が、菓子店と文具店となっていて、その中間にひさしから、「菓子舗精栄堂」と浮き彫りにした看板が、つり下げてありました。
私は、わき見しながら軒下を歩いていて、この看板につき当たりました。看板はギッギッと音を立てて、ふり子のようにゆれました。そのころの商店は、茶色や紺地を白く染め抜いた、のれんをかけるぐらいで、看板らしい物をかかげた店は、そうありませんでした。
 
特に練り羊羹は、「伊佐屋のようかん」と但馬に広く聞こえていました。
拍子木形のようかんは、一寸(約三センチ)が何銭と、かね尺ではかって売られました。
進物用には竹の皮の下包みして、「但州府中国府手辺伊佐屋三木菓舗謹製」と刷られた小さな紙をはり、奉書紙で上包みすると水引をかけ、熨斗(のし)を付けました。
このようかんの特長は、日持ちがよくて、いつまでも仕立てのやわらかさがあり、味も不変
というのでした。 (菅村駅一氏 手辺村繁盛記より)
 
昭和6年に始まった満州事変その後の日中戦争、対英米開戦と天皇制絶対主義と軍国主義が突き進んだ先は、相手国にも自国にも多大な犠牲を出して敗戦となりました。
五男四女を設けた祖父秀蔵でしたが、跡継ぎが次々に戦死や病死し、物資の欠乏で休業し、自身も病に倒れ、菓子製造を始めることはありませんでした。
 
 

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伊佐屋物語」カテゴリの記事

コメント

府市場近辺の栄枯盛衰物語のようですね。
歴史を感じます。
勉強になります。
しかし。。。銅鍋とヘラの横に
サントリー金麦があるのはなんで???(笑)

かって比較対象物としてタバコのピース箱、マッチ・小銭が主流でした。
缶ビールでも財布に優しい第3のビールが身近になりました。
「間尺に合わない」のを避けるには尺や定規を置くとよいかもしれません。

なるほど、そういう訳だったんですね。
比較対象に、、、
そういえばこの前の僕はブログに
巨大な佐世保バーガーの写真を載せましたが
比較対象に僕の手のひらを。。。
わかりづらかったようです(笑)

五男四女とは秀蔵さんご夫妻さぞかし大変だったことでしょう。以前のブログで二人戦死されていると聞きましたが、大義はどこへやら実態は欧米列強も呆れるあくどい侵略行為そのものでした。さぞかし無念だったであろうと推察します。ホロコーストはなかったという嘘論文をまことしやかに次々と発表するイギリス人がいて、これに反論した米国のユダヤ人学者が訴えられる事件がありました。英国の司法制度は訴えられた方が自己の正当性を証明しなければならず、これは日本や米国では逆になります。ユダヤ人学者の奮闘により、件のイギリス人は敗訴したのですが、この話が映画化されています。『否定と肯定』と言います。上映館が限られ、未だ見ていないのが残念です。南京虐殺はなかったという人は日本にもたくさんいます。何とも情けない話です。

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